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【ブックレビュー#11】『春画の見かた 10のポイント』 早川聞多 著

[ブックレビュー] 2016年02月09日
先日2月6日から京都の細見美術館で「春画展」がはじまりましたね。

東京の永青文庫で昨年開催され大いに話題になりましたので、関西での開催を心待ちにしていた方も多いのではないでしょうか?

今でこそ実際に目にすることのない「春画」ですが、江戸時代までは広く親しまれていました。眺めて楽しむだけでなく、甲冑のうちに忍ばせて勝ち戦を祈ったり、火災除けのお守りなったりと…今のアダルトコンテンツでは全く考えられない扱われ方をしていたようです。

この『春画の見かた 10のポイント』は、著者スペインのメディアをはじめ、著者がこれまでに様々な人から受けた質問を基に、春画の歴史や、楽しみ方、登場人物などをわかりやすくまとめた入門書です。



若夫婦に触発されてお婆さんにキスを求めるお爺さん、赤ん坊に乳をやる妻にじゃれつく夫など、刺激的な絵なのに見ている者をクスリと笑わせたり、ほんのりと温かい気持ちにさせたりと、思いがけない世界がそこには広がっています。

私自身、浮世絵や日本画を見るのが好きなこともあり、春画にもなんとなく興味はありましたが、きちんと知識を得る機会がありませんでした。

「よく知らないけれど、とりあえず大人向けの絵」くらいの認識から読み始めましたが、読み進める内にそののびやかな絵の内容に春画へのイメージが大きく変わりました。

この本を読んでから春画を見れば、のびやかな世界を一層楽しめること間違いなし。


OBPアカデミアでは著者の早川聞多先生を迎えて春画の入門講座も企画しています。
この本から広がる面白いお話がたくさん聞けますので、こちらも注目です。


(見習いブックソムリエ 島村)