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【ブックレビュー#22】『冥福 日々のオバケ』  牧野修 著

[ブックレビュー] 2016年04月26日
【ブックレビュー#22】『冥福 日々のオバケ』  牧野修 著

 

「オバケ」の「幽霊」って何が違うの?

そんな問いを投げたら、様々な答えが返ってきそうですが、「オバケの方が陽気な感じがする」という解答には賛同してくれる方も多いのではないでしょうか。

 

『冥福 日々のオバケ』のオバケ達もまた陽気な雰囲気をまとっています。

曰くオバケとは「怨みなんて消えちゃっても、人を驚かすのが楽しくて仕方ない連中のこと」だそう。

人を脅かしたいから、生前の姿を捨てて顔のない姿になってみたり、病院やトンネルのような本当は自分もいたくないような気味の悪い場所にわざわざ立ってみたりする。

「オバケ親方」の話では、現世に思い残しのある幽霊が立派に人を驚かせられるように、オバケ親方が幽霊を鍛えてやったり、他のオバケ達が晴れ舞台(?)手伝ってやったりと、なんだか社会性まであって面白い。

 

幽霊やお化けが出てくるとなれば、すはホラー小説か!と思ってしまいますが、この作品出てくるお化けも幽霊も、皆優しくて怖いところなんてちっともありません。

(いや、オバケ親方たちに驚かされる側に立ってみれば、これ以上の恐怖はないかも。だけど、外側から読んでいる分には心霊現象もギャグでしかない)

 

スカッと笑える話もあれば、ほろりと泣かされる人情味(幽霊味?)にあふれた話まで、オバケ(と幽霊)の6つの物語はいずれもおすすめです。

 

また、OBPアカデミアのライブラリー内「隆祥館書店 作家と読者の会100回突破記念コーナー」には著者の牧野修氏の推薦本もありますので、併せてチェックして下さいね。

 

(見習いブックソムリエ 島村)