ytv新規事業共創セッション

テレビの未来を創るプロジェクト

主催:読売テレビ × OBPアカデミア

Theme第3回セッション

第1回では、ネット・デバイスの進化で大きく変わったテレビと生活者との関係について、「生活者との接点拡大」をテーマに、第2回では「地方創生」と「教育」に分野を絞り、次世代のテレビ局が取り組むべき事業を模索しました。
今回は、これまでのセッションを踏まえ、下記の4つのリソースをテーマに新たなビジネスを検討しました。

●テーマ1 テレビ人材の活用
読売テレビには、一般的な企業には無いテレビ局ならではの人材がいます。
例えば「秘密のケンミンSHOW」にて過去1万人にインタビューしてきた名物プロデューサーや、「名探偵コナン」などを手掛けてきたアニメプロデューサー、話し方のプロであるアナウンサーや、映像のプロであるカメラマンなどです。
これらの人材がテレビ番組やイベントの制作を通して培ってきたノウハウや企画力を、新たな事業の創出に活用できないかと考えています。

●テーマ2 テレビ番組のデジタル化を中心としたマルチ展開
読売テレビでは制作したテレビ番組、および番組制作を通じて得た情報や映像を、WEBを中心として様々な形で展開しています。例えば放送後の番組を見逃し配信として「TVer」などで視聴できますし、「Hulu」など動画配信サービスにも番組を供給しています。
また、読売テレビのニュースを「Yahoo!ニュース」や「SmartNews」など外部のプラットフォームへ提供を行っております。
この他に、関西の女性に向けたWEBメディア「anna(アンナ)」を立ち上げ、読売テレビの人気番組を記事化し、配信なども行っております。
読売テレビが持つ有益な情報や楽しめるコンテンツを、放送だけでなく、WEBなどを含め様々なタッチポイントで触れて頂くことを推進していきたいと考えています。

●テーマ3 デジタル技術の活用
かつてテレビ放送は一方通行のサービスでした。しかし、インターネットが登場し、テレビ局と視聴者が双方向で繋がる時代に突入しており、インターネットに結線されたテレビ受信機での視聴状況を「視聴データ」としてデータ収集する取組も始まっています。
しかし、収集した「視聴データ」を十分に利活用出来ていないのが現実です。現在、視聴者の生活を豊かにするために「視聴データ」を活用できないかと考えています。
また、それ以外にもAI、IoT、ブロックチェーン等のデジタル技術を活用したテレビ局と皆さんを繋ぐアイデア、サービスを検討しています。

●テーマ4 道の駅と連携した事業展開
読売テレビでは最近、全国の「道の駅」のグルメNo.1を決めるフードイベント「道-1グランプリ」の運営権と、全国の道の駅とのネットワークを取得しました。ついては、「道-1グランプリ」を中心に、道の駅と連携した地方創生ビジネスに取り組みたいと考えています。

2019.11.21 新規事業共創セッション第3回説明会。
もっと近く、もっと詳しく、お互いを知る機会へ

新規事業共創セッション第3回説明会

本プロジェクトは、読売テレビの新規事業を共に創るパートナーを見つけることを目的とし読売テレビとOBPアカデミアの共同で実施しています。
これからの時代に求められる「テレビ局のあり方」を多様な方達と模索していきます。
説明会とセッションを各3回ずつ実施しディスカッションを行う中で、新しいアイデアや読売テレビにないリソースをお持ちの方たちとの関係を構築し、新しい事業の創造を目指します。

第3回となる今回も業種に偏り無く様々な方が集まりました
第3回となる今回も業種に偏り無く様々な方が集まりました

場所はおなじみとなったOBPアカデミアのセミナールーム。
今回も様々な業界から個人事業主や法人企業の代表者など22名が集まりました。会のはじまりは、読売テレビという企業の理解を深める時間に。
読売テレビの取り組み、テレビ局としての動き、テレビ業界の今とその中における読売テレビなどが、本企画の中心人物でもある佐藤氏によって説明されました。

読売テレビ全体について説明する、読売テレビ 経営企画局 佐藤智也氏
読売テレビ全体について説明する、読売テレビ 経営企画局 佐藤智也氏

読売テレビは5年連続で年度視聴率3冠を獲得し、テレビ業界においては好調の様子。
しかしながら、デジタルデバイスの増加、ネット環境の普及によって、テレビだけが動画視聴の選択肢ではなくなった今、テレビ放送という本業一本では難しい時代に突入していると、佐藤氏は業界の動向を説明します。
「闇雲に何かをしたいと探るのではありません。私たちの商品である番組はもちろん、その番組を作ってきた技術、様々な経験を積んだ人材から派生する“できること”をフル活用したい。参加者の皆さんから新しい刺激を頂きながら、読売テレビの資産を使うアイデアを模索していきたいと考えています。」
と参加者に向けて意欲を示しました。

続いて、テーマごとの詳しい説明セクションへと入ります。
今回設定された4テーマは読売テレビのリソースに基づいたもの。全体を把握した後は、テーマ担当者によってそれぞれの詳細を参加者全員へ説明していきます。

これまで数々の有名番組を制作してきた中嶋氏
これまで数々の有名番組を制作してきた中嶋氏

1つめのテーマは「テレビ人材の活用」。
テレビ局は一般的な企業とは異なった“テレビ局ならでは”の人材が揃っていると話したのは、総務局労政部の中嶋氏。
中嶋氏自身も以前は制作局でバラエティ番組のディレクターやプロデューサーとして活躍され、番組以外のイベントやオンラインサロンの立ち上げなどにも多く関わってきています。

「テレビ局の人材力とは、コンテンツを生み出す力です。番組を作るというのは様々な担当が存在し、それらを進める上で、演出力・構成力・コミュニケーション力・取材力・表現力・空間デザイン力・プロデュース力など、スキルの種類は多岐にわたります。
テレビ局の人材がそれぞれに持つスキルに加えて、数々の経験から得た知見もまたひとつの力と言えるでしょう。」
と、“人材力”の詳細を噛み砕いて説明しました。
また、既に実施している人材力を活かしたイベントや講座を紹介するとともに、単発的なイベント企画運営を行ってはいるものの、番組制作の周辺領域で留まっていることが現状の課題だと伝えます。

株式会社ytvメディアデザイン吉積氏
株式会社ytvメディアデザイン吉積氏

2つめのテーマは「テレビ番組のデジタル化を中心としたマルチ展開」について。
2018年3月に設立されたytvメディアデザインより吉積氏が話されます。

ネット環境の発達により地上波を視聴しない人々が増えた今、ネットの分野から如何に読売テレビのコンテンツを届けられるかを考え、事業展開を手掛けていると説明します。
「読売テレビのWeb事業において最も強みであるのは“ブランドセーフティ”。ネットに情報が溢れているからこそ、安心できる情報源であることが求められています。クライアント様が安心できる場を提供することは、放送局ならではの強さがあると考えます。」

また、2018年8月に立ち上がったWebメディア「anna(アンナ)」を事例に、Webメディアの課題とネット事業の展望を次のように述べられます。
「インターネット上に関西エリアの情報が非常に少ないと捉えています。annaはその課題を解決すべく、読売テレビの人気番組の記事化、関西在住のアンバサダーによる発信、関西のローカルメディアとの連携によるキュレーションなど、関西に特化した情報発信を積極的に行っています。
また、annaオリジナルの番組も制作し、記事を発信しています。ネット上で記事を見た視聴者がテレビ番組もみるようになるなど、ネットとテレビを行き来できる導線を模索しています。
ベースは地上波のコンテンツである読売テレビですが、デジタルの面でもいかにネットユーザーと接することができるか、ネット事業として考えていきたいと思います。」

様々なデータを元に説明される松田氏
様々なデータを元に説明される松田氏

3つ目のテーマは「デジタル技術の活用」について。
説明したのはICT開発部の松田氏。生活者を取り巻く環境についての話を交えながら、現代の生活の変化を参加者へ共有します。
松田氏が話すのは、“視聴データ”の活用方法。
「日本にあるテレビの3割はインターネットに繋がっていると言われています。その3割から “視聴データ”を集め解析することを近日中に始める予定でいます。このデータからは、番組視聴者の嗜好、視聴者の地域エリアを解析できるので、番宣の最適化やCM価値向上に向けたマーケティング活用が可能になります。これらのデータの活用は、社内活用だけでなく、様々な事業アイデアへと発展する可能性を秘めていると考えます。
例えば、15秒に1回情報を取得するという視聴データのリアルタイム性からは、お年寄りの見守りサービスも展開できます。テレビ以外のインターフェイス(スマートフォン、パソコン、カメラなど)を通してユーザー、視聴者と繋がるサービスを生み出せないか、ここにおられる皆さんそれぞれが持つ知識や新技術を組み合わせた新規事業を模索したいと思います。」
と語られました。

地方創生ビジネスに取り組む、経営企画局 星野氏
地方創生ビジネスに取り組む、経営企画局 星野氏

最後のテーマ説明は「道の駅と連携した事業展開」について。
経営企画局の星野氏は現状の取り組みを伝えます。
「新規事業のひとつに地方創生ビジネスがあります。全国に1160もの道の駅があり、自治体と密接な関係がある点で、道の駅は地方創生と親和性が高いと考えます。現状道の駅が持つ課題の一つに情報発信があり、ここには読売テレビの強みが活かせるという点でも注目をしています。
『道-1グランプリ』イベントで道の駅そのものを盛り上げるほか、そこに登場したグルメの商品化や現地以外からも購買できるECサイトの構築、道の駅の情報を集約したキュレーションサイトなども展開できると思います。
道の駅のイベントを現地だけでなく都会にも持ってくるなど、年に1回の『道-1グランプリ』のイベントだけではなく、年間で継続的にビジネスが続くような仕組みを考えたいと思っています。どれもアイデアレベルなので、より具体的に、実現性の高いものを皆さんとお話できれば嬉しく思います。」
と、話されました。

テーマごとにグループに分かれる第2部
テーマごとにグループに分かれる第2部

ひと通りの説明を受け、情報に溢れた会場。
少しの休憩を挟んでの第2部は、それぞれのテーマをさらに深堀りする、テーマごとのディスカッションタイムです。この形式が今回の説明会のポイントとも言えます。
4つのテーマでグループに分かれ、2回に分けて参加者と読売テレビ担当者の話し合いが行われました。

積極的に名刺交換も行われる
積極的に名刺交換も行われる

各グループにはテーブルファシリテーターがつき、活発的な意見交換が行われます。
まずは自己紹介から。それぞれに取り組まれているビジネスを紹介していきます。中には、似たジャンルで活動されている方々もおられたものの、活動方法が大きく異なるなど、それぞれの強み、得意分野があることが伺えます。

それぞれの経験から得た知見を共有する
それぞれの経験から得た知見を共有する

各グループでは、第1部の説明を踏まえて、目的の再確認から具体的な実現方法まで、気になる点をひと通り話し合います。
様々な活動を行っている参加者一人ひとりから出される経験談、アイデア、旬な情報に、読売テレビの担当者が唸る場面も。

今回の説明会形式を企画した星野氏
今回の説明会形式を企画した星野氏

第1回、第2回の説明会とは、プログラムを大きく変えた今回の説明会。
本説明会を企画された星野氏にもお話を伺いました。
「これまでの説明会では、お互いのシーズ・ニーズの交換は出来たものの、具体的なビジネスとして動き出すには、ディスカッションの時間がもっとほしいと感じる部分がありました。そこで、一度やり方を変えてみようとなり、まずはビジネスの具体的アイデアをこちらから提示したうえで、それをたたき台に話をしてみようと思いました。コンセプトワークの先の具体的な議論をしてみたかったのがあります。この形式が正解だったかどうか、初めてだったこともあって改善点はあるのですが、私がいたグループでは皆さんの実経験から、より具体的な情報をいただけました。業態や視点が異なるメンバーが集まったことで、短時間のディスカッションながら有意義な情報交換ができたと思います。
次回のセッションでは今回の説明会を踏まえエントリーいただいた方と、個別のディスカッションを行います。事業を実現させるべく、とにかく深堀りをする時間にしていきたいと思っています。」
と次のフェーズへの意気込みをお話しくださいました。

知見を持つ方々とのコラボレーションで発想も広がりました
知見を持つ方々とのコラボレーションで発想も広がりました

2020年1月に予定されている第3回のセッションは、個別で具体的に事業について話し合う時間になるとのこと。
より議論を深めるための個別形式で、今後の展開が楽しみです。

また、説明会には参加できなかったものの、このレポートをご覧になった方で、ぜひ読売テレビに新規事業の共同展開を提案したいという方がいらっしゃいましたら、本件の窓口となっているOBPアカデミアまでご一報いただきましたら幸いでございます。

問い合わせ先:https://obp-ac.osaka/inquiry.html