【オンライン開催】コロナ後の雇用政策を占う!外国人活用スーパーセミナー

マスコミがあおるゼノフォビア(外国人排除)|評論家・高橋洋一さんのとんでもない陰謀論

2018.11.10掲載
今朝(2018年11月10日)の朝日放送をみていると「正義のミカタ」とかいう番組で入管法改正問題が取り上げられていました。
この問題、メディアのカバー率がすごくて、マスコミにとってはたいへんおいしい話題であることは疑いないですね。

媒体ごとの政治的傾向にまったく関係なく、ほぼどのメディアも基本スタンスは、
「実質的な移民だ」=なにがおこるかわからない
「時期尚早」=できればやめてほしい
「すでに日本は移民大国で、外国人による問題が多発」=もう外国人はいらない

という線でストーリーがつくられています。
安倍首相も今回ばかりは総スカンを食っている、というイメージですね。

私はそうした報道はいずれも的はずれだし、今回の入管法改正にあたって議論すべき点を外していると思います。

そんな中で、今朝見ていたくだんの「正義のミカタ」のコメンテーターたちの新たな「陰謀論」にはあきれました。
元官僚の高橋洋一さんを中心に、「この入管法改正は大企業による日本人の賃金抑制策だ」というわけです。
安倍さんが大企業の圧力で賃金抑制策を導入しようとしている、というわけです。
なんの証拠も提示されないこんな陰謀論が堂々と公共の電波で、しかも京大現役教授や元官僚の生出演で吹聴される状況に、唖然としました。

異なる文化を持つ人々に対して人間が持つ排他的な性質を「ゼノフォビア(外国人恐怖症)」と呼びます。
誰もが持つ傾向なので、これ自体を撲滅することは不可能ですが、ゼノフォビアをたきつけると外国人に対する極端な排外主義や、場合によっては暴力やテロが発生するので、ゼノフォビアをあおらないことは少なくともメディアの世界では常識と思っていました。
しかし今朝の「正義のミカタ」の編集方針やコメンテーターの態度にはそのような慎重さはどこにも見当たりませんでした。
「外国人が日本人の賃金を抑制する道具に使われている」というデマが信じられないよう祈るばかりです。

この番組でも報道されていましたが、今回の入管法改正によって1年間に増える外国人労働者の数は、一説では4万人と見積もられています。
仮にこの規模で外国人が来日し、そのすべてが最低賃金水準で働いたとして、それは7000万人の日本人労働者の賃金を低下させるのかどうか。
もしそうなら証拠を示してもらいたいところです。

一方、新しい就労ビザができても、外国人を日本人より低賃金で雇うことができると考える経営者がいるのであれば、あなたの職場では日本人も外国人も働いてくれないことは疑いありません。
どれほどたくさん外国人労働者を迎えようとしても、あなたの職場がひどい場所であるならば、そこで働く人はいません。
いま人材不足で困っている企業は、日本人であれ外国人であれ、就職してもらうためには企業努力が必要です。
それが今回の入管法改正のもっとも大きな意義です。
外国人と会社が直接に労働契約を結ぶ。その間に実習生のように2重3重の搾取団体を挟まない。
技能実習生には選択の自由は与えられないどころが、ひどい職場だと思って逃げれば、入管法違反という「罪」を着せられてしまうのです。
そんなひどい日本の「雇用慣行」を変えるのが、この入管法改正です。

私は一日も早くこの法律が制定され、ひどい目にあっている一部の技能実習生が奴隷の足枷から解放されることを祈っています。
むろん、そもそも政府がつくった技能実習生制度は、それ自体が利権となっており、少なからずそれが安倍首相の支持基盤でもあるでしょうから、現政権が声高に「技能実習廃止」と言えないのは明白です。
私もさささやかな「陰謀論」を語らせていただけるなら、その現政権の弱みに付け込んでコメンテーターに改正法案反対の意見を言わせている人たちがいるのかもしれません。

(文責:鍋島祥郎)


RECOMMENDOBPアカデミアを120%活用しよう!